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【見解】2005/09/05 
『初めて提示された「教員モデル給料表」についての見解』

2005年 9月 5日 全日本教職員組合 中央執行委員会

≪1≫ 04年度からの国立大学法人化に伴い、公立学校教員給与の国準拠性が廃止となり、人事院は従来の教育職俸給表(二)(三)表を勧告しないことになりました。とはいえ、義務教育費国庫負担制度の削減・廃止の動向や自治体の財政困難が深刻化する中で、都道府県・政令市人事委員会の「自主性」に任せた場合、自治体間の給与格差が拡大し、さらに水準が低下することが懸念されました。
 そこで全教は、公教育のナショナルミニマム確保と「同一労働・同一賃金の原則」に立って、国・関係団体の責任で各人事委員会が参考にできる、全国共通の標準的な教員給料表を策定するよう、文部科学省、人事院、全国人事委員会連合会(全人連)、都道府県教育長協議会などに精力的な働きかけをおこなってきました。一方、地方人事委員会の中からも、教員給料表作成の経験・ノウハウがなく、中央における対応を求める要望が出されていました。
 このような中で全国人事委員会連合会(全人連)は昨年度、「93万人の勤務条件の根幹にかかわる問題」として、人事院に「参考として公立学校義務教育等に関する給料表を示していただきたい」との要望書を提出しましたが、ベア改定そのものがなく具体化されませんでした。そして今年度に入り、国大協、高専機構などともに、人事院の外郭団体である財団法人日本人事行政研究所に対し「参考となる教員給料表の作成」を委託しました。
 
≪2≫ 全人連から9月5日に、公務労組連絡会・全教に対し、日本人事行政研究所から納品された「教員給与に関する参考モデル給料表」(以下、教員モデル給料表)が示され、説明がありました。
 その内容は、8月15日の人事院勧告を基本的に踏襲した賃金水準・給与構造となっており、「05年官民較差に基づく改定」と来年度からの「給与構造の見直し」の「2本建て」となっています。
 教員モデル給料表の概要は次のとおりです。
 
1 05年官民較差に基づく改定
 
 ・小中教員給料表モデルの場合、平均改定額は△1,180円、平均改定率は△0.3%
 ・高校教員給料表モデルの場合、平均改定額は△1,221円、平均改定率は△0.3%
 
2 給与構造の見直しに伴う改定
 
 ・小中教員給料表モデルの場合、平均改定額は△16,690円、平均改定率は△4.7%
 ・高校教員給料表モデルの場合、平均改定額は△18,118円、平均改定率は△4.9%
   本表の作成に当たっての考慮点
 ア 行政職俸給表(一)との均衡を基本に同年次同率改定による引下げを基本とした。
 イ 号俸構成として行政職俸給表(一)との均衡及び在職実態等から号俸をカットした。
 ウ 在職実態等を考慮して号俸延長として2級で3号俸を新設した。
 エ 号俸を4分割した。
 オ 現行の1号俸上位昇格に代えて昇格後の号俸決定の際に一定額を加算する方式に改め、その昇格時加算額を10,000円とする。
 
3 教職調整額及び義務教育教員等特別手当の扱い
 
(1) 教職調整額の扱い
 今回の給与表の改定との関係で金額的にはその額が低下することとなるが、この点は一般の職員の超過勤務手当の単価の場合と同じであり、今回特別にその支給割合を改定する必要はないと認められる。
 
(2) 義務教育教員等特別手当の扱い
 長年金額として据え置かれていることを理由にその改善を求める意見が存するが、もともと教員給与の特別改善の一環として、あらかじめ措置された予算の範囲内でその額が定められたという経緯のものであり、この点を考慮すると今回の給与表の改定との関係でこれを改定する必要性は存しないものと考えられる。
 
≪3≫ 今回提示された教員モデル給料表及び諸手当の扱いは、私たちの強い反対の声にもかかわらず人事院が強行した「給与構造の改革」を踏まえたものであり、全体の給与水準を4.8%も引き下げ、(1)地域による格差、(2)役職による格差、(3)評価による職員間格差など三重の格差拡大を持ち込み、年功賃金をやめてベテラン教職員の賃金水準を切り下げる極めて不当なものです。また学校職場の長時間・過密勤務の実態を踏まえた改善や1級賃金水準の引き上げも見送られており、私たちの切実な要求から見れば不満であるといわなければなりません。
 しかし日本人事行政研究所が示した教員モデル給料表の内容は、委託された条件の制約を受けたものであることに留意する必要があります。また全教は、全人連が教員給料表モデルを提示したことを多としつつも、委託先が民間の研究機関であることに問題点がないかなど必要な検証を行うことにしています。そして、何よりも労働基本権の回復を展望しつつ、交渉・協議に基づく教職員賃金決定システムの確立が基本であることは言うまでもありません。
 
≪4≫ 全人連は、教員モデル給料表を「各自治体の主体的な取り組みを支援していくために、各自治体が参考とし得るような教育職給料表」と位置づけています。「教員給料表モデル」は、各人事委員会が勧告する際の文字どおり「参考資料」にすぎません。
 国準拠制は廃止となりましたが、文科省は「現行の教員給与体系の基本は維持されるので、公立学校教員の給与については引き続き必要な水準が保たれるよう留意すること」(03年8月25日付「通知」)を各都道府県教育委員会に求めています。教職員の賃金・労働条件は教育条件でもあり、教育基本法は「待遇の適正」を明記しています。
 したがって、今後の対県人事委員会・教育委員会に対するとりくみで、これまでの確認・経緯を尊重させ、少なくとも現行の教員賃金水準と体系を維持させることが課題となっています。
 
≪5≫ 05人勧に対する全教声明で明らかにしたとおり、今後の地方における賃金確定の労使交渉を通じて、「マイナス勧告」の具体化を許さず、これまでの各都道府県における確認・経緯(号級足のばし、枠外昇給や特別昇給の扱いなど)を尊重させ、少なくとも現行教員賃金体系の維持及び水準を引き下げさせないために奮闘します。
 臨時・非常勤教職員の賃金改善、中途採用者・育休取得者の不合理是正、青年層や1級の賃金水準引き上げに力を尽くすとともに、教職員の深刻な長時間過密労働の解消と、実態に見合う抜本的な処遇改善を要求します。査定昇給など「成績主義賃金」の強化や「優秀教員」に適用する級の増設に反対するとともに、「新教職員評価制度」の導入を阻止し、参加と共同の学校づくりに全力をあげるものです。                                    
以上




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