【アピール】2006/01/20
『子どもたちの平和で豊かな未来のために教育基本法改悪法案の提出を許さない世論と運動をいそいで強めよう』
――アピール 通常国会開会にあたって――
子どもたちの平和で豊かな未来のために教育基本法改悪法案の提出を許さない世論と運動をいそいで強めよう
2006年 1月20日 全日本教職員組合
本日、第164通常国会が開会しました。政府与党は、今国会に、行政改革推進法案、憲法「改正」の国民投票法案などとともに、教育基本法「改正」法案の提出を予定しています。私たちは「戦争する国」を担う人づくりのための教育基本法の改悪を許すことはできません。全国の教職員、父母・国民のみなさんに、法案の提出と成立を許さない運動を国会前段から思い切って強め、教育条件を切り崩し、格差と分断を持ち込む教育関連悪法阻止の共同を広げることを、心から訴えます。
子どもをねらった犯罪があいつぎ、不安のなかで子どもたちは冬休み明けを迎えました。「私なんかいないほうがよい」と考える小中生が3割を占めています(文部科学省「児童生徒の心の健康と生活習慣に関する調査」・02年)。「21世紀は人類にとって希望に満ちた社会にならない」と62%の中高生が答えました(日本青少年研究所調査・00年))。子どもを人間として大切にする教育基本法がないがしろにされてきた結果です。
既に日本は、子どもたちが生きることの喜びを持つことが困難な国になっています。人間の尊厳をふみにじり、競争の論理で弱者を切り捨てる利潤第一主義の構造改革が社会を席巻しています。「日本の戦争は正しかった」と賛美する「つくる会」教科書の押し付けを自民党が応援し、小泉総理の靖国神社参拝で政府が事実上戦争賛美の靖国史観を公認するという逆流が加速しています。アメリカの言いなりに自衛隊が海外に派兵され、米軍と自衛隊の軍事的な一体化もすすんでいます。
日本は、痛苦の戦争体験を通して「戦争をしない・軍隊を持たない」とした日本国憲法を制定しました。そしてその「理想の実現」を教育に託して教育基本法を制定したのです。以来、憲法と教育基本法は、平和と民主主義の教育の羅針盤となりました。しかし、その原則と理念は常に揺るがされてきました。いま、憲法と教育基本法を「改正」する動きは、かつてない規模と速さで強まっています。昨年11月の自民党大会は新理念・新綱領を決定し、新しい憲法制定と教育基本法「改正」を打ち出すとともに、新憲法草案を発表し、通常国会に国民投票法案を提出することで民主党、公明党と一致しています。また、公明党は「条件闘争に転換」(12/6毎日)し、通常国会で教育基本法の改悪を容認したと伝えられています。戦後の出発の原点を覆すこれらの動きは、アジアの友好関係を揺るがし、日本の外交的な孤立をもたらし、子どもの未来を閉ざすものとなっています。
他方、これらの改悪を許さない世論と運動も急速に広がっています。一昨年6月に大江健三郎さん、加藤周一さんらの手で「九条の会」が結成されて以来、九条改悪反対の一点で幅広い人たちが参加する草の根「九条の会」が4000を越えて結成され、日々、多彩な取り組みをすすめています。昨年の3月26日には全国の教職員と父母、1万人が国民大集会を成功させ、各地の教育共同組織が生き生きと活動しています。これらの背景には、歴史の逆流を許さず、平和と民主主義を擁護する分厚い国民世論があります。私たちが運動を通してこれらの世論と結ぶなら、教育基本法を改悪し、憲法改悪に道をひらく動きを必ず阻止することができます。
日本の教職員は、戦後一貫して、子どもたちを、平和・人権・民主主義の未来を切りひらく担い手として育成することをめざしてきました。土台にあるのは、戦前、子どもたちを戦争に駆り立てたことへの痛恨の反省です。私たちは、今日の重大局面にあたり、その原点を再確認するとともに、教育基本法の改悪に反対する運動を憲法改悪反対のとりくみにしっかり位置づけ、子どもたちの平和で豊かな未来を願う全ての人たちとともに、世論と運動を強める決意です。
以上
▲ページトップへ
|