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【談話】2006/03/28 
『教科書特殊指定の廃止に反対します』

2006年 3月28日 全日本教職員組合 教文局長 山口 隆

 公正取引委員会は、「教科書業における特定の不公正な取引方法」(以下「教科書特殊指定」)の廃止についての意見を募集しています。寄せられた意見を踏まえて、「教科書特殊指定」の廃止に係わる手続きを行うとしています。
 公正取引委員会は、廃止の趣旨として、「教科書採択の方法、手続きが整備され、また発行業者の売り込み競争や取引の実態も大きく変化し、採択関係者への利益供与等によって教科書の採択がゆがめられるおそれは著しく減少し、特殊指定を設けて規制を行う必要性はなくなっているため」としています。
 
 教科書は子どもにとって大切なものです。ですから、大きな会社が小さな会社を淘汰して、教科書市場を独占してしまい、教科書採択の選択肢が狭まってしまっては困ります。また、激しい教科書の売り込み競争がおこなわれることによって、より安い教科書が優先させられてしまい、子どもにとってよい教科書が採択されない状況がつくられては困ります。さらに、教科書発行会社が自らの会社の教科書採択を有利にするために、教科書関係者に利益や便宜を与えることなどがあってはなりません。
 「教科書特殊指定」は、こうしたことがおこらないように、教科書を市場競争のみにゆだねないためのルールとしてつくられ、不十分ながらもその役割を果たしてきたものです。
 
 「教科書特殊指定」を規制緩和によって廃止してしまうと、大きな教科書会社が売り込むための過剰な宣伝活動を強め、価格競争によってシェアを独占し、小さな教科書会社は出版を取りやめざるえない事態に追い込まれることが容易に予測され、そのことによって、子どもにとって大切な教科書の採択がゆがめられる重大な危険があると考えます。
また、2006年度中学校使用教科書採択にあたっては、政権与党である自民党の政治的圧力とも深くかかわって、「新しい歴史教科書をつくる会」が作成した歴史・公民教科書(扶桑社版)の検定申請図書(白表紙本)を、扶桑社が合計70冊、現場教員や教育委員会関係者に配っていたことが、衆議院文部科学委員会で明らかになり、大問題となりました。
 いまでもこうした問題が起こっているにもかかわらず、「教科書特殊指定」を廃止してしまうと、政治的・財政的支援を受けた教科書が採択される可能性が高くなることも懸念されます。
 このように、子どもが毎日学ぶ教科書まで「市場原理」万能論によって、「規制緩和」してしまえば、教科書の中身も、その採択のありようもゆがめられ、ひいては教育そのものに重大な影響をもたらすと考えます。
 
 教科書採択について、私たちは、採択機関への教職員の参加をはじめ、教科書採択に現場教職員の声を反映させること、現場での教科書検討の期間を大幅に増やすこと、常設展示場を増やして、父母・国民が教科書に身近にふれ、もっと意見を出すことができるようにすること、などの民主的採択のルールづくりこそが求められると考えます。
 
 以上のことから、私たちは、「教科書特殊指定」の廃止には、反対するものであり、その立場から、公正取引委員会に意見表明をおこないます。同時に、教職員、父母・国民のみなさんに対し、教育と教科書をゆがめる「規制緩和」をゆるさず、教科書の民主的採択を求める立場から、積極的な意見表明をおこなわれることをよびかけるものです。




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