全日本教職員組合
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声明・見解・談話
【見解】2007/02/20
『水準引き下げ、格差導入をねらう教職調整額の改悪に反対する』
2007年 2月20日 全日本教職員組合中央執行委員会

1.文部科学省は、行政改革推進法に基づき、人材確保法の廃止など公立学校教職員の給与の在り方の見直し検討を、中央教育審議会初等中等教育分科会に設置した「ワーキンググループ」(以下、WG)で行っています。1月30日に「審議経過報告」(以下、「経過報告」)を公表し、08年度からの見直しに向け、年度内に答申を出すため、作業を急いでいます。


2.その検討の基礎資料とするために、「教員の勤務実態調査」が実施され、WGの「経過報告」は、「恒常的時間外勤務の実態が明らかになっている」「学校の管理運営や外部対応に関わる業務が増えてきており、結果として、教員に子どもたちの指導の時間の余裕がなくなってきている」と深刻な勤務実態を指摘しています。そして、焦点である教職調整額(4%)の扱いは、「引き続き審議を深めていく」ことになりましたが、「勤務負担の少ない教員と多い教員とで教職調整額の支給率にメリハリ」を付けることや休職中の者は支給対象外とすべきなどの意見が出された、と述べていました。
 
3.報道によれば、2月13日に開催された第15回WGにおいて、「残業の有無に関係なく一律に処遇している現行制度(教職調整額4%)は見直すべきとする見解で一致。ただ具体策では教員の勤務の特殊性を踏まえた新たな手当を作る案と、一般の公務員と同じ残業手当を支給する案で意見が分かれ、2案を併記する見通しとなった」(「日経」)と報道されています。(参照、末尾に「教職調整額の見直しについて(案)」
 
4.見直しは2段階からなっており、第1段階は、教職調整額を期末・勤勉手当や退職手当等の算定基礎から外す、第2段階は、一律支給を見直し、メリハリを付けて支給を行う、となっています。
 まず第1段階は、「すでに実態が大きく変わっている」「過度な優遇と批判されやすい」などの背景をあげて、現行の調整額を手当の形式とし、期末・勤勉手当や退職手当等の算定基礎から外すことによる水準の切り下げを前提にして検討されています。
 教職調整額は額面は4%ですが、一時金や退職手当に反映するため、実質は6%に相当すると言われていました。一時金等の算定基礎とならない手当にすると、現行方式と比べて約33%も水準が削減されることになります。このことは、看過できない大問題です。なぜなら、教員の勤務実態調査によれば、1カ月平均の残業時間が、現行4%積算の基礎となった昭和41年当時の約8時間と比べて、4倍以上の約35時間となっており、それに見合う予算確保を確保した上での水準改善が前提とならなければなりません。
 そして水準の切り下げを前提に、第2段階として、【支給率にメリハリを付けて支給】【時間外勤務手当を支給】の2案が検討されています。
 【案の1支給率にメリハリを付けて支給】は、職務負荷を管理職が評価し、例えば、標準の者は、教職特別手当(仮称)4%支給、負荷が重い(時間外労働が多い)者は6%支給、負荷が軽い(時間外労働が少ない)者は2%支給、「指導力不足」教員の研修受講中の者や休職中の者には支給しない(0%)、とするものです。しかし、勤務時間の内外の仕事を誰が、どのように評価するというのでしょうか。客観的な時間数で評価しなければ、職務評価に管理職の恣意・主観的要素が入らないでしょうか。教職員評価との関係はどうなるのでしょうか。また、担任している児童・生徒の生活指導の状況や担当している校務分掌により、月々、教員の時間外勤務時間数(職務負荷)が変動していますが、毎月毎に評価し、給与に反映させるのでしょうか。「時間外勤務命令は超勤4項目に限定」となっていますが、限定4項目以外の膨大な時間外勤務には目をつぶり、結局、サービス残業を温存するのでしょうか。そもそも、標準の職務評価のレベルをどのように設定するのでしょうか、また、その金銭的対価を何%と位置づけるのでしょうか。「教育職員の職務と勤務態様の特殊性」から「時間計測になじまない点がある」として、「一律支給が適当である」として導入された現行制度を否定するだけの説得力ある説明がありません。(参考:全教見解「教職員の異常で違法な超過勤務実態の是正をめざして―教員勤務実態調査の結果を踏まえて」(06年12月4日)
 【案の2時間外勤務手当を支給】は、一般の公務員と同様に、時間外勤務の時間数に応じて時間外勤務手当を支給する、というものです。
 全教は、WGのヒアリングにおいて、「給特法を『改正』し、測定可能な時間外勤務には、労基法37条に基づく時間外手当を支給すべき」「学校職場にふさわしい超過勤務時間数の把握方法などを工夫すべき」「測定不可能な時間外勤務に対する措置として教職調整額は存続すべきですが、その支給割合は、時間外手当支給対象業務のカバー率がどうなるか、確保される時間外手当予算が勤務実態に見合って十分かどうか、によって決まっていく」などと主張しました。
 したがって全教は、【案の2時間外勤務手当を支給】を基本的に支持するものですが、WGの資料も「課題」で指摘しているように、肝心なことは「勤務実態調査の結果を踏まえた予算の確保が必要」だということです。必要な予算が確保されずに、時間外勤務手当を支給する制度を導入すれば、管理職による恣意的で権力的な時間管理が横行し、慢性的な長時間過密労働の歯止めにならず、サービス残業もなくなりません。
 
5.「教員の勤務実態調査」は、全国の教員が1月当たり平均約80時間(約52時間の超過勤務と約28時間の持帰り仕事)という過労死ラインに相当する異常で違法な時間外勤務を行っていることを浮き彫りにしました。これをもとに労基法に基づく割増の時間外手当を算出すると、持帰り時間を除いても年間約154万円(小学校117万円、中学校188万円)になります。全国で働く教職員は約92万人でサービス残業額は約1兆2千億円にもなり、一人あたりの平均必要経費(900万円)で割り返すと、約10万人の教職員増が必要となります。
 文部科学省およびWGには、教員勤務実態調査に示された時間外勤務実態に見合う総人件費を確保し、教職員定数増と賃金水準維持を基本とした実効ある超勤是正策を打ち出すことが期待されています。しかしながら、「骨太の方針06」(①教職員定数の1万人程度の純減、②人材確保法に基づく優遇措置を縮減(2.76%削減で財務省と文科省が合意)するとともにメリハリをつけた教員給与体系)の枠の中で前提に検討を行っているため、出口の見えない迷路に迷い込んだ議論となっています。
 父母・国民が願っている、いじめ、学力などの教育課題の解決には、教職員の慢性的な超過勤務を解消し、子どもたちと直接かかわれる余裕など教育条件の整備は不可欠です。私たちは、重ねて、教員勤務実態調査に示された時間外勤務実態に見合う総人件費を確保し、教職員定数増と賃金水準維持を基本とした実効ある超勤是正策を打ち出すことを要求していきます。     
 
 
以上
 

 
(WGの資料)「教職調整額の見直しについて(案)」
 
2.見直しの背景(要約) 
(1)教員の勤務実態の変化
【教員勤務実態の結果】
・昭和41年度の調査結果と比べて、教員の残業時間の平均が大きく増えている
(1カ月平均の残業時間 昭和41年:約8時間 ⇒ 平成18年:約35時間#)
#全教注:休日残業と持ち帰り仕事を除いたもの。
・学校運営に関わる業務など児童生徒の指導に関わる業務以外の業務の時間数が大きくなってきている
・各教員の勤務時間の差が大きくなっている。(1日あたり平均の残業時間が0分の者もいれば、5時間以上の者もいる。)
 
【教員意識調査の結果】
・各教員の仕事の量や質の負担感の差が生じている
⇒ 制度と実態の乖離が進んでいることから、教職調整額の在り方及び一律支給の見直しが必要
 
(2)期末・勤勉手当や退職手当等の算定基礎とすること
⇒ 制度発足時は、期末・勤勉手当や退職手当等の算定基礎とすることを含めて公平となるよう支給率が設定されていたが、すでに実態が大きく変わっていること、また、調整額という手法をとっているため、過度な優遇と批判されやすいことなどから、期末・勤勉手当や退職手当等の算定基礎からはずすことについて検討が必要ではないか。
 
 
3.教職調整額の見直し 
 上記2のような見直しの背景を踏まえ、まず、期末・勤勉手当や退職手当等の算定基礎から外すため、調整額という形式をやめて、手当とすることが必要ではないか。
 その上で、一律支給を見直しメリハリを付けて支給を行うため、以下のような方向で見直しを検討する。
 
【案の1】支給率にメリハリを付けて支給
 勤務時間の内外を通じてそれぞれの教員にかかる職務負荷を評価して支給する新たな手当(教職特別手当(仮称))を創設する。→給料の○%支給を標準とし、職務負荷に応じて支給率を増減。
※ 引き続き、教員への時間外勤務命令は超勤4項目に限定。
課題 ・客観的な評価基準をどう定めるか。
   ・勤務実態調査の結果を踏まえた支給率の見直しが必要。
 
【案の2】時間外勤務手当を支給
 一般の公務員と同様に、時間外勤務の時間数に応じて時間外勤務手当を支給する。
※ 超勤4項目を廃止。一般の公務員と同様に、公務のために臨時の必要がある場合に時間外勤務を命じることができるようにする。(ただし、超勤4項目を改正し、教員に対して時間外勤務を命じることができる事項を拡大する方法も考えられる。)
課題 ・教員の自発性・創造性を尊重するこれまでの考え方との整合性。
   ・教員の職務が時間外勤務命令に基づく勤務になじむか。
   ・勤務実態調査の結果を踏まえた予算の確保が必要。                
 
以上


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