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声明・見解・談話
【見解】2007/01/09
『2007年度政府・文部科学省予算案に対する見解』
2007年 1月 9日 全日本教職員組合 中央執行委員会

 政府は、昨年12月24日、2007年度予算案を決定しました。一般会計総額は7.6兆円の税収増で前年度当初予算費4.0%増の82兆9088億円です。一般歳出は、46兆9784億円で1.3%増となっています。政府は「財政健全化を一歩進めた」と述べていますが、国債発行額は25兆4320億円で2007年度末の国債発行残高は547兆0722億円、また国と地方を合わせた長期債務残高は773兆円に達する見通しです。GDP(国内総生産)の1.5倍で、「世界一の借金大国」(尾身財務相)と財政悪化に歯止めがかからない状況です。

 まじめに働いても生活保護水準以下の所得しか得られない「ワーキングプア」の増大など、貧困と社会的格差が重大な社会問題になっているにもかかわらず、予算案は、国民にはすでに決められた定率減税廃止で、所得税、住民税をあわせて1兆7000億円の増税をおしかぶせる一方、大企業には減価償却制度の「見直し」、証券優遇税制の延長などで1兆円の減税をおこなうという、まさに逆立ちの予算案となっています。さらに、国民には、厚生年金と国民年金保険料の引き上げ、生活保護の母子加算の3カ年かけての段階的廃止など社会保障改悪で、負担増に追い討ちをかける一方、大型公共事業はスーパー中枢港湾整備524億円、三大都市圏環状道路1859億円、空港・港湾へのアクセス道路などの整備900億円などと温存しています。そのうえ、改憲で「アメリカとともに海外で戦争する国」づくりをめざす安倍内閣の特徴として、軍事費は初めて在日米軍再編成経費314億円を計上し、普天間基地飛行場移転移設調査費10億円、海兵隊のグアム移転調査3億円などを盛り込み、ミサイル防衛(MD)には経費契約額で約427億円増の1825億円を計上するなど、総額で4兆8016億円を計上しています。まさに、アメリカ追随、財界べったりの政府の姿勢が予算案にくっきりとあらわれています。
 
 文教予算は、一般歳出総額が前年度比で1.3%増に対して、0.1%増の5兆2743億円に押さえられています。
 その特徴は、第1に、文教予算全体の0.1%増に対して、「教育再生」関連の教育政策経費は4.2%増となっており、改悪教育基本法の具体化として、子どもたちの成長と教育をゆがめる安倍「教育再生プラン」推進のための予算編成となっていることです。4月に実施する全国一斉学力テストのための66億円、学校と教職員の管理統制を強める第三者による学校評価システムの構築のための予算7億6000万円、教員免許更新制の導入の調査・研究に2億2000万円等を計上しています。また、一部エリート養成のための「学力向上アクションプランの推進」などの学力向上策の推進費103億円、習得すべき学力など根本的な検討が求められている「小学校における英語活動等国際理解活動推進プラン」費6億円等が盛り込まれています。
 第2に、いっそう財界の経済成長戦略と「教育の構造改革」路線に沿った施策が多く盛り込まれた予算案となっていることです。義務教育費国庫負担金については、人材確保法に基づく教員給与「優遇」措置の2.76%の縮減は、私たちの運動も反映し、2007年度実施は見送りました。しかし、「2008年度の検討とする」としており、ひきつづき予断を許さぬ状況です。この見送りにあたり、伊吹文科相は「教育再生のために立派な教師の確保が必要」と発言しましたが、教職員定数増という強い要求にこそ、こたえるべきです。ところが、文科省は、概算要求段階で第8次教職員定数改善計画の策定を見送るという不当な対応をおこなっており、その姿勢が根本から問われなければなりません。また、私学助成については高校の経常費等補助は前年度と同額としたものの、大学については前年度比0.1%46億円を削減しました。国立大学運営費交付金も1.4%171億円削減され、大学での教育・研究をいっそう困難にし、大学で学ぶ学生と保護者にさらなる経済的負担を強いるものとなっています。
 第3に、貧困と格差の広がりのなかで、子どもたちの学習権が脅かされている現状の解決をはかることなく、格差を拡大し、固定化に繋がる予算となっていることです。私立大学への補助金の削減、国立大学運営費交付金の削減など、大学で学ぶことを困難にする予算編成となっているだけでなく、今求められている就学援助制度の拡充や、自治体がすすめる授業料減免制度の充実のための対策など、子どもたちの教育を受ける権利を保障するための対策は見られません。奨学金事業では、学生・父母・国民、教職員の強いねがいと運動で、6.3%増の1439億円が計上されていますが、有利子4万5000人の増員に対し、無利子7000人の増員と、「教育ローン」化をすすめる内容となっています。
 第4に、父母・国民の強いねがいと運動に押され、文科省は新たな施策を打ち出しましたが、その内容は逆に子どもたちの教育条件を悪化させるものであったり、不十分なものとなっていることです。小学校の余裕教室等を利用して補習や体験活動をおこなう「放課後子ども教室推進事業」費68億円を計上していますが、内容は地域の大人や大学生のボランティアを配置するだけで子どもたちの安全確保さえ懸念されるものとなっています。さらに、厚労省の学童保育事業との一本化を安上がりな予算ですすめようとするものであり、すでに学童保育室を縮小・廃止する自治体も出始めており、問題の大きい内容です。また、いじめ対策など「問題を抱える子どもの自立支援や教育相談の充実」費として69億円を計上し、中学校へのスクールカウンセラー配置、教育委員会が行っている電話相談の24時間365日対応への拡充を打ち出しましたが、ゆきすぎた競争教育の政策をあらためるとともに、教職員を大幅に増やし、教職員の過密労働を解消し、一人ひとりの子どもと向き合い、受け止めることができる体制に整備することが求められています。
 第5に、きわめて不十分ながら、私たちのとりくみの反映がみられることです。教職員削減をすすめつつ、その一部をあて「教育課題対応緊急3カ年対策」として特別支援教育・食育推進のために331名の教職員定数を配置するわずかな改善をおこないました。また、通学路の安全確保のためのスクールバス活用など「子ども安心プロジェクトの充実」事業が7900万円増の19億6800万円計上されました。さらに、「公立学校施設の耐震化の推進等」事業として、耐震性確保にはまだまだ不十分ですが、2億8800億円増の1042億円が計上されました。そして、地方交付税の算定積算基礎に「特別支援教育支援員」の項目を位置づけ、2007年に2万1000人(約250億円)、2008年にプラス9000人分を予算化するとしています。しかし、地方交付税全体で7000億円も削減されており、実際に配置させるためには各地でのひきつづくとりくみが求められます。
 
 安倍内閣は、庶民いじめ、大企業優遇、改憲をめざした海外派兵対応の軍事費と一体に、改悪教育基本法具体化、財界の経済成長戦略に盛り込まれた教育要求を推進するための予算案を第166回通常国会で成立させようとしています。
 任期中の憲法改悪を公言し、教育基本法改悪を強行した安倍内閣に対して、憲法改悪反対、貧困と格差の拡大をゆるすな、という国民世論で包囲することが、きわめて重要な課題です。同時に、国民の教育権を定めた憲法第26条に基づき義務教育の無償を推進し、子どもたちの学ぶ権利を保障するための予算、父母・国民の願いである国の責任による30人学級の実現、私学助成の増額など、子どもを守り、教育条件を改善させる予算に組み替えをもとめる国民的な大運動を展開することが重要です。全教は、憲法を生かし、平和を守り、豊かなくらしとゆきとどいた教育をもとめる世論とかたく結合し、予算編成の組み替えを求め、ひきつづきとりくみを強めていきます。

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