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【報告】2009/02/19
『全教からの追加情報』(教員の地位に関する勧告の適用に関するILO・ユネスコ共同専門家委員会 宛)

 全教は、「追加情報があれば、できるだけ早期に知らせてもらいたい」とのCEARTの要請に応え、ILOとユネスコ本部を訪問。以下の追加情報を提出しました。


添付ファイルなし

2009年 2月19日
 
教員の地位に関する勧告の適用に関する
ILO・ユネスコ共同専門家委員会 御中
  

全日本教職員組合
中央執行委員長 米浦 正



全教からの追加情報

1.ILO事務局から08年12月8日付で、ILO・ユネスコの共同専門家委員会(以下、CEART)の中間報告書(以下、第4次勧告)と調査団報告書が全教へ届けられ確かに受け取りました。
 
 CEART調査団が遠路来日され、帰国の直前まで、補充ヒアリングを実施されるなど精力的な活動にあらためて感謝を申し上げます。また、すべての当事者に受け入れられる「問題の解決のための提案」をおこなう使命を果たすため、真摯にとりくまれたことに深い敬意を表します。
 
2.全教は第4次勧告を受け取り、中央執行委員会の声明(12月17日)を出しました。要旨は、次の通りです。
 
 今回の勧告は、4月の実情調査で入手した豊富な情報をもとに、この間の文部科学省の部分的改善措置を評価しつつも、日本の教育行政が『66年勧告』から逸脱していることを明快に批判し、勧告の適用を促進・監視するCEARTの存在感を内外に示した、と指摘しました。
 
 そして、第4次勧告は、調査団が「直接接触」で得た証拠資料を基礎に、具体的な改善内容に踏み込む意欲的な内容で、私たちの期待に応える画期的なものと評価し、その特徴として4点をあげました。
 
 第1に、実情調査を踏まえ、『66年勧告』が規定している「教員の自由、創意、責任」の意義が強調され、申し立て事項である「指導力不足」教員政策、教員評価制度に関して、具体的に詳細な改善内容を勧告したことです。
 
 第2に、今回は、文部科学省だけでなく、都道府県教育委員会に対しても直接勧告していることです。都道府県教委に直接勧告したことは、都道府県レベルから教育政策を前進させる可能性を切り開いた積極的なものです。
 
 第3に、勧告したにもかかわらず改善がすすまない原因は、「交渉と協議」問題にあると判断し、教員評価制度などを「管理運営事項」扱いとせず(42項)、有意義な協議・交渉を行うことの重要性を指摘し、法改正を含め(43項)教職員組合政策の抜本的な転換を求めました。
 
 第4に、CEARTからの具体的支援の表明(43項)です。私たちは、国内で自主的に解決することを基本としたいと考えていますが、CEARTからの支援の申し出に留意するものです。
 最後に、中間報告として出されたのは「問題をよりタイムリーに解決することに役立てる」ためで、世界からも注視されており、文科省・都道府県教委の誠実で速やかな対応を要請することを表明しました。
 
3.私たちは、第4次勧告が、協調の精神による「協議と交渉」がなければ、「教育の有意味性と質の向上とを図る教育改革が成功する可能性を損なう」(32項)と述べていることに「強い説得的効果」があると理解しました。
 
 ところが、ILO理事会(LILS)において、日本政府代表が、「日本の状況、法律及び政府の講じてきた施策に関する理解が不十分であることに落胆している。中間報告書の記述と勧告の一部を受け入れることは困難である。政府は、日本の未来の推進力である子どもたちにとって最大の利益となる諸制度の整備を最優先政策とするものであり、教員の地位に関する勧告の精神を尊重しつつ、我が国の現状と法律に適した方法で当該政策を一層推進する所存である」と述べたことを知り、驚きました。
 
 『教員の地位勧告』・CEART勧告は、本来、各国の自発的意思で守られるべきものですが、CEART調査団の派遣を要請し、調査団の負託事項なども合意して受け入れた日本政府・文部科学省が、これまで同様、日本の法律と実際の運用を「教員の地位勧告」より優先する態度を表明したことは、国際信義上も許されないことであると考えます。
 
4.全教は1月19日、文部科学省に対し、「CEART勧告の遵守を求める要請」を行いました。要請項目は、以下の通りです。
 
① 『教員の地位勧告』・CEART勧告を尊重して、教育行政をすすめること。
 
② CEART勧告およびCEART調査団報告書の政府・文科省訳を公表すること。
 
③ すべての教育委員会に対し、「教員評価制度の手続き的保障を改善するために県教育委員会がとった措置へのCEARTの讃辞を伝え」(43項)、CEART勧告を周知徹底すること。その際、文科省だけでなく、都道府県教委を直接の勧告対象としていることを指摘すること。
 
④ 文科省が定めた「指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドライン」を、CEART勧告を踏まえ、「同僚性と専門職的協働という周知の日本的特質に依拠」(34項)して検証し、判定する客観的基準や適正手続きなどについて、必要な改善を行うこと。
 
⑤ 業績評価に関して、「雇用当局が昇給とボーナスに関わる業績評価制度の今後の設計と実施を、教員を代表するすべての教員団体との誠実な協議と合意のもとで行うよう、すぐに措置を講じるべき」(39項)とのCEART勧告を遵守するとともに、「OECD諸国で運用されている同僚評価や学校全体評価が日本の教育の将来のニーズと目標に合致しないものかどうかを検討」(38項)する場を設け、すべての教職員組合の代表を参加させること。
 
⑥ CEART勧告を踏まえ、「協調の精神」による「教育当局と教員団体との協議や意見交換のための確立された機構」を実現するため、すべての教職員組合代表が参加する検討の場を設けること。
 
 要請に対し文科省は、「(CEARTの勧告において)教員評価と指導不適切教員問題について、文科省や教育委員会が、一定のとりくみについて評価してもらっていると考えている。一方で、わが国の実情だとか、法制を十分斟酌していないということもあり、それらについては『残念である』『受け入れがたい』と、(ILO理事会〔LILS〕で)意見表明している」とし、これが文科省としての公式な見解であるとしました。
 
 また、全教が「CEART勧告及びCEART調査団報告書の政府・文科省訳を公表すること」を求めたことに対し、政府訳・文科省訳を作成するつもりもないし、公表するつもりもないことを表明しました。さらに、「すべての教育委員会に対し、『教員評価制度の手続き的保証を改善するために県教育委員会がとった措置へのCEARTの賛辞を伝え』(43項)、CEART勧告を周知徹底すること」についても、「必要に応じて各教育委員会に情報提供する」との回答に終始し、全教が速やかな対応を求めたことを退けました。
 
 これらに対し、全教は「国際機関からの調査団を受け入れ、勧告が出されたら、そうした情報を広く国民に知らせることは、政府・行政機関の最低限の社会的責務だ」「到底受け入れがたいという中身があっても、情報を提供し、判断は各教育委員会に求めるという意味で、積極的な対応を」と重ねて求めました。
 
 最後に全教は、「必要に応じて意見交換」するとした文科省の発言を確認し、こうした「協議」の場を引き続き設けていくよう求めました。
 
 このような文部科学省の消極的な対応の背景には、教職員組合を「教育政策の決定に関与すべき勢力」として認めない基本的態度に加え、現在、首相官邸を中心に進められている公務員制度改革の重要なテーマが公務員の労働基本権制約の見直しであり、一省庁で判断できない事情が考えられます。
 
5.政府の国家公務員制度改革推進本部は、2月3日、「公務員制度改革に係る『工程表』」を決定しました。「工程表」は、公務員の労働基本権を制約したまま、政府が「代償機関」としてきた人事院の機能さえも「内閣人事・行政管理局(仮称)」に移管するとしたもので、憲法第28条に規定する労働基本権を踏みにじる暴挙と言わざるを得ません。
 
 私たちは、政府の労使関係制度検討委員会で議論が進行中の労働協約締結権を含む「自律的労使関係制度」の検討結果を待って、労働基本権の代償措置に係る権限(公務員労働者の労働条件決定に係る事項での権限)の移管について結論を出すことを求めてきました。昨年12月22日には、国家公務員制度改革推進本部に対して、検討されている公務員制度改革において、今回のCEART勧告が十分に反映されるよう申し入れました。
 
 しかし、今回決定された「工程表」は、能力・実績主義の徹底のため「新たな人事制度を2011年4月から導入する」こととし、また、「内閣人事・行政管理局(仮称)」の機能として、明らかに勤務条件である給与事項の決定が含まれています。この「工程表」の考え方は、国家公務員のみならず地方公務員・教職員にも連動する可能性を持っており、私たちにとっても看過できない問題です。
 
 今後、協約締結権付与の拡大が具体的に検討されますが、現行法制では、公立学校で働く教職員は他の地方公務員よりも、選挙活動や政治活動がより厳しく制限されており、私たちは、協約締結権も同様の扱いになることを警戒しています。ILO第284回理事会が2002年6月、岡山高教組の事案に関して、「公立学校の教員について団体協約による雇用条件の規定を目的とする自主的交渉のためのしくみの充分な発達及び利用を奨励、促進するためにとりうる適切な措置」(414項)を、日本政府に勧告しました。私たちは、引き続き、ILO勧告、CEART勧告を力に、公立学校で働く教職員を含む公務員の労働基本権回復に向け全力を尽くす決意です。
 
6.全教は、画期的な今回のCEART勧告の内容を速やかに国内に普及するため、日本語訳をホームページで公表するとともに、7000部の資料集、10万部のリーフレットをすでに作成しました。中嶋滋LLO労働側理事や日本弁護士連合会の代表が来賓として出席した報告集会を内外の参加者で開催するとともに、全国で学習・普及運動を開始しました。
 
 また、都道府県教育委員会はもちろんのこと、すべての教育委員会に対し、CEART第4次勧告および調査団報告書を届け懇談し、子ども本位の質の高い教育改革をめざし、奮闘するものです。
 
 なお、このとりくみの状況と結果は、別途報告します。
 
 
以上


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