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全教のとりくみ詳細
【ILO】2003/11/11
『「教員の地位勧告」の適用に関するILO・ユネスコ共同専門家委員会(CEART)報告』2
経緯
検討結果
結果教員の指導力
添付ファイルなし

勤務評定

21.「勧告」は使用者当局が公正で適切な教員の勤務評定制度を発展させ実施しうること、また評定を昇給の基礎として用いうることを認めていることは明らかである。しかし、すでに引用したとおり、124項は給与決定を目的としたいかなる勤務評定制度も関係教員団体との事前協議及びその承認なしに採用され、または適用されてはならないと明確に述べている。これもすでに引用した「勧告」64項もこのような評定に適用される。同項は客観的基準と明確な不服申し立ての権利を予定している。
 
22.共同専門家委員会が知りうる範囲において、過去に実施された多くの勤務評定制度は公正かつ有効に運用されず、結局は廃止されている。これは上記原則の根拠を示すものである。成功の鍵は真に客観的な基準をきわめて慎重に定義することと誰から見ても透明性の高い公正な運用制度を確立することにある。適切な構成員からなる独立した機関に審査を請求し、不服を申し立てることのできる実効的権利など、恣意に対する適切な防禦の保障はその一部である。
 
23.全教は申し立てにおいて次のような批判を行っている。
 
(a) 現行の制度は当事者である教職員団体との十分な協議も、またその承認もなく導入されたものである。実際、協議の要求は、勤務評定制度は管理運営事項であり、協議を要しないとの理由により拒否されている。(この点、東京都教育委員会は最近の回答において「教員団体から意見を聴取し、意見を交換する多くの機会を持った」と主張しており、対立がある。)
(b) この制度では教頭及び校長による絶対評価に加えて、教育長が相対評価を行うが、教育長は1万5000人もの教員を評価することになる。このことから、きわめて主観的な要素が入り込まざるを得ない。
(c) 勤務評定は教員による義務的な「自己申告」から始まるが、校長または教頭はこの「書き換え」を要求することがある。
(d) 勤務評定は競争的性質を持つものであるため、教員間の共同的な同僚性を損なう傾向が実際にみられるとともに、生徒の成績に基づく高い評価を得んがために個々の教員の専門職的な教育活動が歪められる恐れが多分にある。
(e) 現行制度では評定結果の本人開示が(教育長の)裁量によるものとされ、しかもこれまでに実施されていないのであり、真に透明性の高い制度であるとは言えない。評定結果に対する不服申し立ても制度化されていない。
(f) 現行制度に対する教員の信頼は概して得られていない。むしろ、教員の意欲と動機づけに負の効果をもたらしている。評価者である校長と被評価者である教員の間の信頼関係に望ましくない亀裂を生じさせている。
 
24.文部科学省は多くの点で全教による批判に反論を試みている。
 
25.大前提として、文部科学省は、導入しようとしている勤務成績の評価制度は「勧告」124項に言う「給与決定を目的とした勤務評定制度」にはあたらないのであり、同項は適用されないと主張している。文部科学省は、新たな勤務評定制度は教員の能力開発が主な目的であって、人事考課は給与を決定するものではない、したがって同制度は勤務条件と関係がないと断言している。
 
26.すでに引用したように、人事考課制度は各層の代表から構成される「委員会」によって検討されたものであり、「教員団体から意見を聴取し、意見を交換することに努めた」と文部科学省は主張している。
 
27.文部科学省は評価が公正で客観的なものではないという批判に反論している。全管理職員は評価者訓練を受講しており、評価は授業観察に基づくものであると述べる。
 
28.評価結果が教員に開示されていないとの批判に対して、文部科学省は「実際には、成果と改善を要する点が教員との個別面接のなかで具体的に話し合われている。面接では、教員の能力開発を促すため、具体的な助言が与えられている。したがって、結果の開示と教員が自分の意見を表明する機会は、事実上、保障されている」と述べている。また、共同専門家委員会は、東京都教育委員会の最終回答において、規則上、本人開示の権利は「現行制度のもとでも保障されている」と述べられていることに注目する。あわせて「人事考課制度の基準と運用に関して、教員、教員団体等は人事委員会に措置要求を行うことができる。この措置要求が却下された場合、違法な行政処分として裁判所に訴えることができる」とも述べている。
 
29.最後に、勤務評定制度の実施は管理運営事項であり、したがって「勧告」は適用されないとのいうのが文部科学省の立場であると共同専門家委員会は理解している。
 
30.共同専門家委員会は、相対評価の目的が「評価結果を給与、昇任その他人事管理に適切に反映させるため」とされているにも関わらず、新たな勤務評定制度は給与決定を目的とするものではないと文部科学省が主張していることに当惑を覚える。しかも、文部科学省は最近の回答において「優れた業績をあげている教員が適切に認められ、その評価結果が給与を含む処遇に適切に反映されること」が望ましいと、明確に述べているのである。文部科学省は、全教が教員評価に基づく新たな差別的な業績主義給与と人事制度が東京都と香川県で既に導入されていると明確に述べていることに対して具体的な言及をしていない。この事の真偽はおくとしても、少なくとも、現在の制度はまぎれもなく64項の適用対象であることを断言しなくてはならない。その理由がまったくの管理的事項であるというものであれ、他の何であれ、この事案について「勧告」は適用されないとの考えを共同専門家委員会は認めることができない。「勧告」の表現は他の解釈の余地を与えるものではない。
 
31.全教と文部科学省の提出した意見から、共同専門家委員会は新たな教員評価制度の導入と実施は以下の点で「勧告」に抵触していると結論する。
 
(a) 「勧告」が予定している教員団体との十分な協議の過程を欠いていた。
(b) 重大な影響をもたらす主観的評価が行われることが明らかである。
(c) 教員は行われた評価の詳細とその根拠を知る権利を与えられていない。(この点、個別面接において話し合いが行われていると文部科学省は言っているが、それでは上記事項に関する詳細な情報が提供されていることの保障にはまったくならない。教員本人は評価者がどのような最終的評価を行ったかとその根拠について知らされていない。さらに、東京都教育委員会の言う「保障」は個人の評価内容の本人開示についてではなく、基準に対する不服申し立てについてのことであるように思われる。東京都教育委員会は「東京都教育委員会は、教員本人に対する評価結果の開示は原則的に必要であると考えている。現在、本人開示の時期と範囲について検討が行われている。」と別のところで述べており、このことは現在本人開示が実施されていないことを明示している。)
(d) 勤務評定の過程に公開性と透明性が欠如していること、また評価の基準と実施方法に関してはともかく、評価自体に関する審査または不服申し立ての明確な権利がまったく存在しないことは明らかである。
 
32.共同専門家委員会は、事実に関する争いが解決されていない現時点では、詳細にわたる事項に関してこれ以上言及するのは不適切であると判断する。繰り返しになるが、いずれにせよ善意と適切な対話をもって、主要な「勧告」不遵守の問題が解決されるならば、他の点についての争いも緩和され、全教と関係する行政機関との関係の残念な悪化と思われる問題も回復されうるであろうというのが共同専門家委員会の意見である。このことに関して、文部科学省と関係する教員団体は、相互に受け入れることのできる結論に到達するためにILO及びユネスコから専門的な助言を求めることが有益であることを考慮されたい。
 

勧告

33.共同専門家委員会はILO理事会とユネスコ執行機関に対して次のとおり勧告する。
 
(a) 上記の状況に対して注意を払うこと。
(b) 上記の検討結果を日本政府及び全教に伝え、「勧告」が遵守されていない領域について建設的な対応を行うために対話を行うことを双方に要求すること。
(c) 日本政府及び全教に対し、これらの諸問題の今後の展開についての情報を共同専門家委員会に常に提供するよう要求すること。これらの情報は定められた手続きにしたがい適切な時期に検討されることとなるだろう。
 
 
(全教訳)


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