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【行動】2008/07/11
第20回教育全国署名スタート集会【呼びかけ人あいさつ】
三輪 定宣(千葉大学名誉教授) 
 
 日頃のご奮闘と本日のご参加、本当にご苦労さまです。
 この教育署名集会、運動はたいへんユニークです。なぜかというと少人数学級あるいは私学助成など教育の土台である教育条件の整備を中心にして、それを教育的な価値としてとらえ、その確立をめざすというところに大きな特徴のある運動として、この20年間続いてまいりました。
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 しかも組織的に、継続的に、そして全国的に、このような規模の運動が続けられたということは、これは日本はもとより、恐らく世界的にも非常に類まれな――そういう意味では自画自賛的かもしれませんが、「世界遺産」ともいうべき実質を備えているのではないかと思います。みなさんとともにこのような運動をすすめてきたことを本当に誇りに思っています。
 
 1947年の教育基本法は、教育の機会均等を含む教育条件を固有の教育的な価値というようにとらえて、教育行政が教育の内的な内容の統制ではなくて、条件整備を通じて教育の発展に寄与するべきであるという方向を明確にした、恐らく人類史上も画期的な教育法であったと思います。
 その真髄――要とも言うべき、第10条の「教育行政」は、「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に直接に責任をおって行われるべきものである」そして、第2項では「教育行政は、この自覚のもとに教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行わなければならない」というように明記しました。
 それは国定教科書に代表される教育の異常な国家統制。そして70人学級に代表される教育条件の軽視、責任放棄。これらを特徴とする戦前教育への痛烈な反省から生まれたものでした。ところが06年の教育基本法は、この10条を廃止して、そして「愛国心」「徳育」「規範教育」を中心に教育に対する国の統制や教員管理を強化して、また、教育行政の教育条件整備の責任を軽視して、教育行政原理を再び反動的な方向へ転換させました。
 政府は戦後初期を除き、教育条件整備に消極的であって、その帰結として、世界の主要国の中で最悪の学級規模、あるいは学費、教育費負担、奨学金、教育予算など教育条件の劣化が国際的に際立ってきました。それは教育基本法の形骸化政策の結果であり、今回の教育諸法の改訂はその正当化、総仕上げ、あるいは戦後レジームの脱却の突破口をめざすものでした。
 これに対し、この教育署名運動は政府の不作為を追及するとともに、憲法と47年教育基本法に凝縮した民主的な教育理念や条理を形骸化、空洞化しようとする、いまの教育基本法のもとで、この運動が重要になってまいりました。
 
 最近の話題では教育新興基本計画が浮かび上がりましたけれども、これは教育基本法が教育の理念、内容を規定するのに対して、主に教育条件、あるいは教育財政面の計画を盛り込むと期待されておりました。いま注目されておりますのは文科省対財務省の対立の構図でありまして、文科省はOECD最低のランクに落ち込んだ日本の教育予算3・5%をOECD平均の5・0%までに引き上げて、7・4兆円増額すると、これは文科省の文教予算3・9兆円の約2倍にあたる額ですね。これをめざして高校、大学の学費軽減など付け焼刃ではありますが、この運動などがめざしてきた国民の側の教育要求の諸項目を盛り込んでいます。
 また、財務省でさえですね、現行の定数という条件ですが、それを活用すれば少人数学級は実現するのではないかということまで言いだしています。教育条件整備をめぐる環境は1年前と様変わり、まさに地殻変動的な変化が生じていると言ってもよろしいのではないでしょうか。1年前、私も予想できませんでした。ちょうど1年前の7月12日だったと思いますが、午前中はNHKの国際放送局で日本の教育費の劣情について電波を通じて私は世界に発信する、そういう発言を行い、午後、この集会で教育条件整備の重要性を訴える、という経験をしました。その時点では予想もつかない大きな変化がいま生じています。貧困と格差の拡大の中でそれだけ問題が切実になり、しかも行政改革、構造改革の延長で予算が切り刻まれるということの中で、非常に世論がこうした運動に対して理解しやすく、また必要になってきたということであろうかと思います。
 
 周知のように国際人権A規約、自由権に対して社会権の方でありますが、その13条は教育への理解、教育への権利の完全な実現のためにですね、すべての段階の教育の無償性。しかも授業料などの直接の費用と共に、教材費などの間接的な費用なども含めて、これを無償にするとうたっておりますし、その他、適正な奨学金とか、教職員の物質的条件の不断の改善ということを規定しているわけですね。そしてご承知のように日本政府は高等教育の無償性、無償条項は批准を留保するという態度をとっておりますので、国連の委員会から撤回の検討を迫られているのも周知のとおりです。
 憲法98条は、条約や確立された国際法規、これは誠実に履行するということを憲法上の義務として政府にも命じているわけです。教育の条件の中でこうした学費問題と同時に、この条約には教育職員の物質的条件の不断の改善ということがうたわれています。その具体的な内容は、1966年に採択されたILO・ユネスコ『教員の地位に関する勧告』に詳しく規定されております。そして、その指導原則のところでは、教員の勤務時間をはじめとする教員の勤務条件は、効果的な学習を最大限に促進し、かつ教員がその職務に専念しうるものとなるものとするとか、教育の発展のために、国民所得の適当な割合が優先的に確保されるものとするといった、教育予算の優先確保の原則まで明記されております。政府が方向感覚を喪失するというたいへん不幸な状況ではありますけれども、その中で国際条約や法規に示された教育条件整備の課題の達成がますます重要になるかと思います。教育の羅針盤として、これから20年を境として、さらにこの運動を大きく盛り上げていくことがとても大事な私たちの歴史的な課題ではないかと思っています。
 
 最後に『奨学金の会』は、『国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会』というのが正式名称ですが、その会長をおおせつかっております。いま政府は、学生生徒の命綱ともいえる奨学金の3%の利子をどんどんあげて、民間ローン並みにし、やがて学生支援機構を廃止する。独立行政法人廃止の一環に入れて、いま廃止の方向での施策を講じているわけです。これに対して署名運動などもしています。それについてのご協力もこの場をお借りしてお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。


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