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【行動】2007/04/13
「全国一斉学力テスト」の中止を求める運動交流集会を開催!【発言】
【発言】梅原 利夫 和光大学教授、民主教育研究所 運営委員
 
 こんばんは。限られた時間ですので、私は学力テストについて3点のことを述べたいと思います。
 第1番目はこのことによって学力テスト体制が全国津々浦々に徹底されるという問題です。それから2番目には来るべき学習指導要領や学力向上策の口実材料にさせられるということです。3つ目は、学力保障の一環としての教育的な学力テストについては、私たち教職員こそが、子どもに即して使いこなしていきたいものだ、この3点を述べさせていただきたいと思います。
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子ども、学級、学校、地域が序列化され、競争に巻き込まれる
 
 今回の学力テストというものは、国家のレベルで定められたテスト問題に対してその達成度が数値化されます。問題はその数値が、個人、学級、学校、地域の教育の水準を示し、それが序列化され、順番化される。そして、学校は数値を少しでも上げるランキング上昇競争に、教師も子どもも巻き込まれるということだと思います。つまり、数値がすべてであり、それで学校も教師も、「評価」されるということです。
 例えば東京都ではすでに1月に都段階の学力テストが行われ、葛飾区では、区段階のテストが今日4月13日に行われました。その葛飾区では、さらに10日後に、全国一斉学力テストをやる。一体何なんでしょう。ここに現れているのは、格差社会の激化と固定化、テスト至上主義による学校の管理、点数による人間のラベリング化ではないでしょうか。私は今回の学力テストではじめてテスト体制ができるわけではなくて、東京都のように都段階、区段階で行われているこのテストが、全国一斉に一律にすべての子どもが参加することが期待されて行われることによって、学力テスト体制というものが、言わばオーソライズされ、公的にそれが認知され、それが権威を増していく。そこのところに今回の一斉学力テストの問題が潜んでいる、というふうに思います。
 
 
来るべき学習指導要領やさらなる学力向上策の格好の口実材料に
 
 それから2点目に、今回の学力テストは、それだけが切り離されているのではなくて、すでに準備されていて、秋にも発表されると言われている来るべき学習指導要領、あるいは学力テストにもとづいたさらなる学力向上策の格好の口実材料にさせられるということです。実は今回の学力テストをやらないでも、日本の子どもたちの学力の特徴や問題点は、抽出調査や国際学力テストなどで十分に明らかになっています。従って今回の学力テストでも、たとえば基礎的な学力については、まだまだ十分に指導する必要があるとか、あるいは今回、活用力に関する問題が出ますが、活用力やあるいは考えて書く力などについては、国が期待する期待値から見て十分ではないなどの結果が出ると思います。それは実はテストをやらなくても分かっているんです。問題は、そのようなことが直ちに習熟度別学習を正当化する材料として、あるいは基礎基本の徹底としてドリル主義がはびこる、そういう結果をもたらすことを私は恐れます。
 来るべき学習指導要領については、すでにいくつかの文章で明らかになっていますが、これまでとは大きく違って、各教科等は達成目標が細かく定められることになっています。つまり、入口管理とそれからこの達成目標にもとづいて、どれだけ達成ができたのかということを評価する、つまり出口管理ですね。この入口管理と出口管理がこれまでになく強められる、そのことがしやすいような学習指導要領の形態や表現や中身になる、ということがすでに明らかになっています。果たして、そういうことで子どもにつけたい学力が本当につくのでしょうか。そのことを私は憂えます。
 
 
子どもにつけたい学力とはゆたかで奥が深いもの
 
 子どもにつけたい学力ということに関して言えば、私は大きく5つの学ぶ力から学力というものはなりたっていると思います。その一つ目は、「学びを求める力」―学ぶ意欲ですね。2つ目は、「学んでいく力」―分かる、できる、使えるという学びのプロセスの中で学んでいく力が育つ。3つ目には、「学び合う力」―これはテストでは測れません。子どもたち自身が助け合い、学び合う力。これも実は学力の重要な中身を構成しています。4つ目には、「その結果学び取った力」―この学び取った力の極ごく一部、ペーパーテストではかれることを今回は国家が決めてやろうということです。そして5つ目には、「次の学びにつなげていく力」―学びの応用力、というものがあります。
私たちが考えている学ぶ力、学力というのは、これほどゆたかで奥が深く、様々な要素の学ぶ力が構成されてなっているわけです。この点から言っても今度のペーパーテストで測る力は、本当にごく一面的な力であるということが分かると思います。
 来るべき学習指導要領や学力向上策の口実材料にさせられていましたが、実はそれは現在審議されている教育3法を支える口実でもありますし、教育再生会議が5月に出す第2次答申を支える口実にもなり、また、内閣が用意しています教育振興基本計画の筆頭に学力テストが掲げられるということにもつながっていると思います。そのような問題点を含んだ学力テストであると思います。
 
 
学力テストは「悪者」というわけではない
 
 3つ目の問題。それでは学力テストというのはいつも悪者なんでしょうか。私たちの実践から、学力テストというのは無視すればいいのでしょうか。そうではありません。親の中にも今回の学力テストということにある期待を寄せる根拠があるわけです。つまり、学力テストそのものには、別に悪者とかあるわけではないわけですね。むしろ学力保障を求め、学力評価の一環としての教育的な学力テストというのはあるし、私たちが日常的に使いこなしてきているものだし、またいっそうこれから学力保障につながるような評価としてのテストというのは使いこなしていかなければならない、というふうに思います。つまり、学力テストというのは子どもにもっとも遠くにいる人が問題をつくり、子どもをマーケットの商品としてとらえる企業が、実施情報を管理し、競争の教育を権力者が押しつけようとする、そういうところが今回の学力テストの問題であるわけです。
 本当に子どもの学力を保障するための評価やテスト、ドリル、子どもたちの学習というものは、もっとも子どもの身近にいる私たち教師、職員、学校関係者、そういう人たちがしっかりとできる条件にあるし、またできるのだ、ということを訴えていく必要があるのではないかと思います。
 
 端的に3点の問題と課題を述べました。「問題あり」の学力テストですけれども、それを批判すると同時に子どもにもっとも身近に実践をしている私たちこそが、学力をゆたかにとらえ、国民的に打って出る、そういう条件があるということにも確信を持ち、今こそ教職員の専門性ということを学力テスト問題にも生かしてとりくんでいきたいものだと思います。一緒にがんばりましょう。


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