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【行動】2005/07/13 
3000万署名スタート集会【情勢報告】

2005年7月13日
社会文化会館ホール

(1)私学助成、少人数学級での前進

 2004年度から2005年度にかけて、私たちは、全国の生徒、父母、教職員の運動と国民の世論が、教育にかかわる国の政策を大きく動かしていることを実感しています。
 私学助成、そして少人数学級という、3000万署名が運動と世論を広げてきた2つの課題で、昨年から今年にかけて私たちは大きく情勢を動かしてきたのです。
 
 ちょうど1年前、私学助成は、国庫補助の全廃という私学助成始まって以来の危機に直面していました。仮にこれが実施されれば、各都道府県の助成は軒並み大幅削減され、私学はたちまち廃校の危機に追い込まれかねない、たいへんな情勢のもとにありました。
 私たちは「教育に公平を、公教育は公費で」をスローガンに掲げ、10月31日の全国私学のつどい・銀座パレードをはじめ、各地で多くの生徒・父母に呼びかけた様々なつどいやフェスティバル、パレードを行い、私学の国庫補助堅持・拡充を訴えました。10・31全国私学のつどいには全国から15県920人の生徒、22県850人の父母など合わせて32県3300人が駆けつけ、「学費の払えない仲間を救え、自分たちの学校は自分たちで守る」と訴える700人の生徒群舞を中心に大成功しました。全国では、各地のとりくみに15万人の生徒、父母、教職員が参加するという大運動になりました。
このような全国からの世論と運動によって、私学の国庫助成は国の補助金削減リストからはずされ、12月の復活折衝を通じて、わずかではありますが5億円(0.5%)の増額を実現することができたのです。
 こうした全国の運動と国の予算を反映して、2005年度の各都道府県私学助成予算は、5県での削減は許したものの、33都道府県で生徒一人当り単価での対前年度増額を実現するという、実に画期的な成果をあげました。
 滋賀では、今年1月8日に私学助成県単独分全廃が新聞報道されましたが、その後ひと月のとりくみで2月7日に生徒600人を中心とした1000人パレードを県庁前で実施し、その二日後には県単独分全廃を撤回させました。4年間で北海道単独分を全廃するとして、2004年度に生徒一人当り1万1000円削減された北海道でも、1000円ではありますが増額を実現しました。2004年度の削減で国基準を大きく下回っていた千葉では、この6月県議会の補正予算で1万9751円の増額を実現して国基準を回復させました。国基準を大きく下回っている埼玉でも、6053円を増額しています。
 こうしたとりくみに共通しているのは、様々なつどいやフェスティバル、パレードなど、私学の教育と生徒を広く市民にアピールする場を設けて、生徒を真ん中にした生徒、父母、教職員のつながりを大きく広げ、私学の教育費と私学助成の問題を教育と子どもの問題として世論に訴えていることです。
 特に生徒の参加を大きく広げているところで運動が飛躍的に前進しています。
 
 少人数学級の課題でも、2005年度にかけて大きく前進しました。
 2004年度まで全国42道府県で実施されていた少人数学級は、2005年度にあらたに石川、佐賀、岐阜で実施され、今年度から東京と香川を除く45道府県で実施されています。
こうした自治体での少人数学級を広げてきた力は、ゆきとどいた教育を求める父母、教職員、住民の要求を掲げた、県の教育行政を動かしていくとりくみとともに、何よりも3000万署名運動によって地域の少人数学級実現の世論を広げてきたことであり、教職員、父母が自治体関係者と懇談し、PTAなどと協議しながら運動をすすめてきたことです。
 さらに、全国的にすすめられている学校統廃合反対の自治体・学校ぐるみの「学校統廃合ではなく30人学級を」の広範な声を集めた共同のとりくみの広がりがあります。
 こうした各地の世論と運動、自治体レベルでの少人数学級の広がりを受けて、5月9日には中山文部科学大臣が記者会見で、国レベルで何らかの少人数学級に踏み出す意欲を表明し、続く10日の中央教育審議会義務教育特別部会では「少人数学級を検討すべきだ」という意見が相次ぎました。文部科学省はこうした動きを受けて、少人数学級について検討する「調査研究協力者会議」を設置し、次年度の概算要求に盛り込む方向で検討をすすめています。
 小泉内閣は、国と地方の行政改革の徹底、三位一体改革による補助金・負担金削減を行う方針を掲げており、国の責任による少人数学級実現に向けて、そうした障害を乗り越えていく大きな運動が必要です。
 1989年に全国3000万署名運動をはじめて以来、30人以下学級の実現は私学助成拡充と並んでそのとりくみの柱であり、自治体レベルでの少人数学級の上に、国レベルでこうした少人数学級に向けた動きが作り出されていることはきわめて大きな成果です。
 何としても次年度国家予算での少人数学級の予算化に向けて、奮闘することが求められています。

(2)2006年度に向けて

こうした大きな前進にもかかわらず、国と地方の教育関係予算は2006年度に向け、いくつかの重大な問題にぶつかっています。
 
第1には、昨年の「三位一体改革」のなかで2005、6年の二年間で8500億円の国庫負担金削減の方向を示し、その結論を中央教育審議会に先送りした、義務教育費国庫負担金の問題です。
義務教育費国庫負担制度は、すべての国民に「妥当な規模と内容」の義務教育を保障するため、国が公立小中学校の教員給与の半分を負担する制度です。仮にこの国庫負担が廃止されれば、相当の税源移譲が行われたとしても、公立小中学校の教育条件に都道府県格差が生じ、格差が拡大するのは必定です。義務教育費国庫負担制度については、秋に向けて中央教育審議会の特別部会が答申をまとめる予定であり、この間、「国庫負担をやめて一般財源にするべきだ」とする委員と「国庫負担制度を堅持すべきだ」とする委員との間で応酬が続いています。
 これまで、日本の教育はこの義務教育費国庫負担制度のもと、5年間程度の教職員定数改善計画をつくり、教育条件を計画的に改善してきました。これまですすめられてきた第7次(高校6次)定数改善は、2005年度が最終年度になります。
 30人以下学級を実現することが、現在問題になっている通常学級に在籍するLDなどの障害を持つ子ども達の教育条件を改善し、多くの教職員配置を実現することにつながります。国が予算上責任を持ってゆきとどいた教育をすすめるためには、義務教育費国庫負担制度を維持し、第8次(高校7次)教職員定数改善計画を策定し、2006年度から着手することが不可欠です。
 私たちは、少人数学級の実現とともに国の教育条件整備の責任を全うさせるために、義務教育費国庫負担制度を守り抜く運動を、大きく広げる必要があります。
 
第2には、各都道府県の私学助成予算の問題です。
 「三位一体改革」による地方交付税削減、様々な国庫補助削減と、税収の落ち込みによって、多くの自治体は財政難に陥っています。
 こうした自治体財政逼迫・自治体財政の歪みの影響を直接受けて、公立高校統廃合とともに、各都道府県の削減圧力にさらされているのが私学助成予算なのです。
北海道の「道財政再建プラン」、青森の「県財政改革プラン」、滋賀の「財政健全化方針」その他、多くの県で「財政再建」に名を借りた教育・福祉関係予算の削減プランが検討されています。その最大のターゲットのひとつになっているのが、県の私学助成です。
 2004年に国基準以下への大幅削減を強行した千葉、埼玉、県単独部分の全廃を打ち出した北海道や滋賀は、こうした都道府県段階での私学助成削減の「先駆け」とも言うべきものでした。こうした私学助成削減が、2006年度に向けてすべての県で検討され、削減に向けた画策が強められているのです。
 私学助成は、単なる教育条件整備の予算ではなく、国や自治体が負担するべき教育費です。経済的事情に左右されることなく、すべての国民にひとしく「教育を受ける権利」を保障すること、国や自治体とは独自の校風や教育システムの学校を維持し、またそうした学校に学費の格差なく、通えるようにするための「教育の自由」を保障すること、こうした国民の教育権の根幹をなす教育費が私学助成なのです。
 本来こうした国や自治体の負担金とも言うべき教育費であるはずの予算が、行政の裁量によって大きく左右される「補助金」であることによって、私学助成は前述のような削減圧力にさらされているのです。
 多くのヨーロッパ諸国では、基本的人権としての「親の教育の自由」「私学の自由」を保障するため、公立学校と同等の私学助成請求権が保障されています。
 「教育に公平を、公教育は公費で」のスローガンを掲げ、国庫助成制度を守り抜いた2004年のとりくみは、こうした目標への大きな一歩でした。こうした前進を受け、2006年度に向けて国と各都道府県の私学助成拡充をはかることが必要です。
 全国私教連の経済的理由による中退調査(175高校)によれば、2004年度に経済的理由によって中退した生徒は279人、一校平均1.59人と調査開始以来最悪の結果になっています。また、各地で公立との学費格差をかかえる私学が、廃校に追い込まれる事態が起こりはじめています。すべての子どもたちに希望する学校教育を保障し、各地域で庶民の教育を支えてきた私学教育を守っていくためにも、何としても次年度私学助成の大幅増額を実現することが必要です。
 日高教の「修学実態調査」では、小泉内閣の「構造改革」による家計の困難が生活を直撃し、授業料減免者が急激に増えています。すべての子どもたちが学費を気にすることなく学校に通えるようにするために、教育の無償化に向けた国民的合意を作り出すことが必要です。
 
第3には、世界的にも極めて低い水準にある教育予算の増額の問題です。
 2001年度のOECD(国際経済協力機構)調査によれば、教育費のGDP(国内総生産)にしめる比率はOECD各国平均で5.0%であるのに対して、日本は3.5%に過ぎず、OECD加盟30カ国の中でトルコと並んで最も低くなっています(OECD『図表でみる教育2004年度版』)。
 2001年度のGDPは503兆円ですから、日本の教育費をOECD諸国平均並にすれば7.5兆円の引き上げが可能であり、子どもの権利条約第28条や国際人権規約第13条にある中等教育、高等教育の無償化をすべての学校で実現することは十分に可能です。
私たちは、こうした「教育のグローバルスタンダード」に向け、各県や地域から大いに奮闘することが重要です。

(3)憲法・教育基本法を生かして

 教育基本法、憲法を変えようという動きが強まっています。
 私学助成拡充や30人学級実現などを柱とした私たちの運動は、「教育の機会均等」と「教育権」といった教育基本法、憲法に定められた権利を、現実のものとして広く実現していく運動です。
 教育基本法を変えようとするねらいは、「人格の完成」と定めた「教育の目的」をゆがめ、「国を愛する心」の育成などをそこへ盛り込むことであり、「教育振興基本計画」にもとづいて、政府が公私すべての教育を全面的に統制できるようにすること、そして教育における「競争」を一層強めて、教育費の「受益者負担」を広げようとすることです。
 教育基本法「改正」案は、今国会にも上程される可能性がありましたが、多くの国民の、教育基本法、憲法を生かすことが大事ではないかという世論によって、今なお国会に上程されてはいません。
 私たちは、すべての子どもに行き届いた教育をすすめるために、こうした教育基本法、憲法を変えようとする動きに警戒を強めるとともに、教育基本法と憲法に盛られた、教育にかかわる理念と精神を、教育、学校と私たちの運動に生かしていく必要があります。

(4)子どもを真ん中に、育ちあう関係を広げて

 私たちの3000万署名運動は、私立、公立の父母、教職員が、私学助成拡充や30人学級の実現などの共同の要求を実現し、すべての子どもたちにゆきとどいた教育を保障するための運動です。そうした要求を実現するために公私の共同が大切です。
 同時に私たちの運動は、多くの学園や地域で、父母、教職員、地域住民が、子どもを真ん中に子どもと教育について語り合い、子育ての悩みと喜びをともにし、子どもと大人の育ちあいのつながりを広げていく教育運動でもあります。
 様々な心痛む少年事件が相次ぎ、また競争的な環境の強まりの中で、多くの父母は、孤立した子育てを強いられて多くの不安や悩みを抱えています。教職員も、教室で見る子どもの変化にとまどい、困難を感じています。
 そして生徒たちも、自分たちの学費負担や学費が払えずに辞めていく仲間の問題、学校や教育のあり方の問題、社会のあり方や平和の問題など、様々な問題に対して色々な思いを抱いています。
 こうした生徒、父母、教職員が、本音で語り合える様々な場やとりくみを広げましょう。
子育てや教育は、決して「個人の問題」ではなく、子どもと社会の未来にかかわる共同の問題です。子どもの問題で、父母と教職員のつながりを広げましょう。子ども自身の参加を大きく広げ、子どもの成長をともに喜び合いながら、大人も、ともに育ち合える関係を広げましょう。
こうした、子育て、教育の共同の土壌を大きく広げて、3000万署名の目標を総達成しましょう。




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